「ごきげんよう、由乃さん」
「ごきげんよう、祐巳さん、志摩子さん」

 薔薇の館に入る前にまず合流してから三人で中に入る、それが先日三人で決めた約束だった。さすがに昨日今日で一人で薔薇の館に入るのには抵抗があるからだ。

「ねぇ、由乃さん。ちょっと私の頬を抓ってくれないかな?」
「?構わないけど………エイッ!」
「痛っ!ちょ、ちょっと由乃さん、本当に痛いよ」

 見ると抓ったところがかなり赤くなっている。どうやらちょっと抓るつもりが力が入り過ぎたようだ。

「ご、ごめんね。でもどうしてこんなこと頼むの?」
「出来ればこれが夢であって欲しいな、って言う思いの表れかな?」

 今回の騒動に江利子が絡んでいることは祐巳も承知済み、それがどんな目的なのかまで理解することは出来ずとも、どうしても嫌な予感がするのだ。

「祐巳さんったら、会う人全員にお願いをしているの」
「だって二人も黄薔薇さまがどんな人間なのか昨日の一件で想像付くでしょ?」
「ま、まぁ………」

 今回の祐巳たちの役割は白薔薇さまである聖、そしてつぼみである令と祥子のサポート要員。その中に江利子は含まれていない。なので祐巳たちが江利子とコンビを組むことは無いのだが、同じ薔薇の館にいる以上全く関わらないで済むとは思えないのだ。

「それに私、学生会の仕事なんてしたこと無いからちゃんとお役目が務まるのか不安だし………」
「私だって学生会の仕事は始めてよ。でもその辺りはきっと祥子さまたちが指導してくれると思うわ」
「そうそう、それに向こうも入って早々に色んなことをさせようとは思ってないと思うよ。あ、もう着いたようね」

 話しをしているうちに薔薇の館に着いたようである。三人は先ほどまでの和やかな雰囲気から緊張した赴きへと変わり、静かにノックを立てる。

「すいませーん」
「いらっしゃい、祐巳ちゃん。待ってたよ♪」
「ロ、白薔薇さま!?」

 聖は扉の前で待ち構えていたのか、祐巳がノックしたと同時に扉を開け、祐巳に抱きついてくる。

「あ、志摩子に由乃ちゃんもごきげんよう」
「ご、ごきげんよう、白薔薇さま」
「ごきげんよう、白薔薇さま」
「あ、祐巳ちゃんにだけ抱きつくのは不公平よね。次はどっちに抱きつこうか?」
「い、いえ、結構です。どうぞ祐巳さんを堪能なさって下さい」

 二人にも矛先が向かれそうになったが、由乃は祐巳を生贄に捧げることでうまく逃げる。祐巳が『裏切り者〜』と言う目で睨んでいるがお構いなしである。だが志摩子はと言うと、

「白薔薇さま、今日から二日間私たちが担当する相手はどなたなんでしょうか?」

 最初は聖の先日までの雰囲気との変貌に戸惑いこそすれど、直ぐに場の雰囲気に順応したかのように平然と受け止めていた。

「志摩子さんって結構大物?」
「かもしれない」
「その話しをは中に入ってからでいいでしょ。紅薔薇さまたちも待っているし、さぁ入った入った」

 そんな志摩子の様子に戸惑いを隠せなかったのは祐巳たちだけではなく、聖も同様だった。先ほどまでの軽いノリから一転して、冷めた様な物言いで三人を薔薇の館へと招き入れる。

「あの、白薔薇さま?」
「ん、どうしたの祐巳ちゃん?」
「何時になったら離してくれるんでしょうか?」







          ◇   ◇   ◇







「ごきげんよう、祐巳ちゃ………白薔薇さま、三人を出迎えてくれるのはいいけど戯れが過ぎるんじゃなくて?」

 結局聖はあのまま祐巳を抱きしめたまま会議室まで連れて来ていた。当然そのことを蓉子に咎められるのだが、

「え〜、いいじゃん別に。それにこの二日間は祐巳ちゃんの所有権は私のものなんだから問題ないでしょ」
「し、所有権!?」

 差して気にしていないようである。しかも『所有権』と言う言葉を持ち出すものだから祐巳も警戒してしまう。だが未だに聖の腕の中にいるので警戒したところでたいして意味はない。

「ちょっと白薔薇さま、確かに今日から二日間祐巳ちゃんは貴女の担当になるけど本来祐巳ちゃんという玩………もとい後輩の所有権は私にあるのよ」
「ロ、黄薔薇さま、『所有権』って私の人権は何処へいったんでしょうか?それに今、一体何を言いかけていたんでしょうか?」
「本当に聞きたいの、祐巳ちゃん?」

 その顔が何を言いかけていたのか嫌というほど思い知らされてしまう。ここが祐巳にとって安息の地とはかけ離れた存在であることを、

「はいはい、二人とも祐巳ちゃんをからかうのもその辺にしなさい。由乃ちゃんたちが入るに入れないじゃない」

 先ほどの一件で会議室の中に入り損ねた由乃と志摩子は未だに廊下から中に入れずに立ち尽くしているのだ。さすがにいつもの調子で暫らく放置する訳にもいかないので蓉子は直ぐに止めに入る。

「紅薔薇さまの仰せのままに」
「そこ、茶化さない」

 聖が蓉子の言いたい事を理解していたお陰でこの場は直ぐに落ち着き、祐巳たちは先日のように薔薇さまたちと向き合う形で席に着く。

「さて、先ほどは見苦しいところを見せてごめんなさいね」
「いえ、それは構わないのですが………」
「さて、先ほど見て解ったと思うけど祐巳ちゃんは今日から二日間白薔薇さまの担当になって貰うわ。で、お二人の担当なんだけど志摩子さんには祥子を、由乃ちゃんには令を担当して貰うわ」

 その言葉に祐巳は落胆と不安の入り混じった顔に、由乃は令の最初相手が自分であることに一安心する。

「じゃあ祐巳ちゃん、この二日間は私のことをお姉さまと思って好きなだけ甘えるといいよ。勿論私が志摩子や由乃ちゃんの相手のときでも大歓迎だよ♪」
「あら白薔薇さま、祐巳ちゃんや由乃ちゃんには『祐巳ちゃん』『由乃ちゃん』なのに志摩子さんだけ『志摩子』なのね」

 江利子の突っ込みに顔を強張らすが、それも一瞬のこと。直ぐにお調子者の顔に戻って言い返す。

「だって祐巳ちゃんや由乃ちゃんは二個も下の後輩だし、『ちゃん』付けで呼ぶ方がしっくりくるでしょ。でも志摩子は『ちゃん』付けだと違和感があるからね、そういうキャラには呼び捨ての方がしっくりくるって訳」
「確かに私も祐巳ちゃんや由乃ちゃんには『ちゃん』付けだし、一人だけさん付けじゃああまりに他人行儀よね。私も『志摩子』って呼ぼうかしら?」
「………勝手にすれば」

 結局志摩子が呼び捨てで呼ぶことに反対しなかったので、調子に乗った江利子は蓉子だけではなく祥子や令にも呼び捨てで呼ぶように言う。

「さて紅薔薇さま、後は各々に任せるとして私達あぶれた者は縁側でお茶でもしようかしら」
「そうね。じゃあ白薔薇さま、今日中に仕上げてほしい仕事は昨日言った通りよ。くれぐれも遊び過ぎでちっとも進まなかった、って事態にならないようにね」
「解ってるって。私はこれでも白薔薇さまなんだよ、大船に乗ったつもりで任せなさいって。それに私だけじゃ無く祥子や令もいるんだから問題無いって」

 祥子と令の名を出す時点で仕事は二人任せと言っているようなものである。そして聖が祐巳で遊ぼうとするのは火を見るより明らか、本当にこの場を去っていいのか不安になる。

「祐巳ちゃん、こんな人だけど白薔薇さまのこと宜しくね」
「ご、ご期待には添えられないかもしれませんが頑張らせて頂きます」

 藁をも縋る思いで祐巳に後を託すが、反面後で仕上げ損ねた分をどうやって消化しようか既に考えていた。

(聖じゃないけど祥子と令に期待するしかなさそうね)

 そして蓉子と江利子が薔薇の館を立ち去るのを見届け、邪魔者がいなくなったと確認したと同時に聖は再び祐巳に抱きついてくる。

「祐〜巳〜ちゃん♪」
「ぎゃうっ!」
「う〜ん、良い反応だね。それにこの抱き心地、悪くないね」

 早くも仕事を放棄し、祐巳で遊ぼうとする。

「ロ、白薔薇さま、先ほど紅薔薇さまに大船に乗ったつもりで、って言ってたじゃないですか」
「そうだよ、でも私は一言も仕事をちゃんとするとは言ってなかったと思うけど?」
「そ、そういえば………じゃなくて、それでもちゃんと仕事しないと駄目ですよ」
「それより祐巳ちゃんで遊ぶ方が何よりも重要♪まったく黄薔薇さまったらこんな愉快な子を今まで内緒にするなんて性格悪いよね」

 性格が悪いと言う点では誰もが同感だが、それと同じ位誰もが聖も似たようなものだと思っている。

「あ、あのですね、私は白薔薇さまのお目付け役でここにいるのであって、白薔薇さまに遊ばれるためにここにいるんじゃないんですよ」
「白薔薇さま、祐巳ちゃんの言うとおりですわ。それにもし仕事を終わらせなかったらお姉さまからお叱りを受けますわよ」
「そうですよ、そろそろ仕事をしてくれないとさすがの紅薔薇さまも堪忍袋の緒が切れてしまいますよ」
「はいはい、やればいいんでしょ、やれば。じゃあ私がこれとこれをやるから後は令と分担してやって頂戴」

 祥子と令からの助け舟のお陰でこの場は収まったが聖の目はまだ諦めた様子はなく、祐巳は気が気ではなかった。一方令と由乃の組み合わせはと言うと、

「令ちゃ………令さま、こういったことは初めてだから至らない点があると思うけどよろしくお願いしますね」
「由乃、今回の一件は私の与り知らないところで進められた話なんだ。いつまでもふて腐れてないで………」

 あからさまに余所行きの話し方をする由乃に令はいつ由乃が爆発するか気になって仕方ないようだ。だが、

「その事は昨日のやり取りで解ってるわよ。ただ学校でいつものノリで話しかけるわけにはいかないでしょ」
「あ、そうか」

 由乃としても令といつまでも気まずいままでいるのは本意ではない。下手にいつぞやの続きをするより今は令の従姉妹としてちゃんとした姿を皆にアピールした方が賢明と判断し、あまり馴れ馴れしくせず余所行きの話し方をしてただけなのだ。

「ところで白薔薇さまっていつもああなの?」

 先日由乃が見た聖はかなりご立腹な様子で、とてもじゃないがお近付きになりたいとは思えないイメージだった。だが一夜明けて見るとまるで人が変わったように軽いノリへと変わったのだ。なので由乃が気になるのは無理もない話だろう。

「う〜ん、確かにお調子者なところが全く無かった訳じゃないけど、どっちかと言えば気難しく立ち寄り難いというイメージが強かったよ」
「なんだか信じれないな、それだけ祐巳さんが気に入ったのかな?」
「それもあると思うけどもしかしたら………」
「もしかしたら?」

(素直じゃない聖さまの性格を考えればあれはわざとでは………ならあれは誰に見せ付ける為?)

 異様にテンションの高い聖、令にはその理由が祐巳だけとは思えなかったのだ。とは言え去年の出来事もあってか、薔薇の館で聖のことに関しては慎重になることが暗黙の了解、結局由乃に二の句を続けれず黙り込んでしまう。

「ごめん、たぶん気のせい。それに確かお姉さまも白薔薇さまなら祐巳ちゃんのことが気に入るだろうって言ってたし、多分それが原因じゃないかな?」
「まぁいじめっ子的なところがある白薔薇さまといじめられっ子的なところがある祐巳さんなら相性はいいしね」
「さ、お喋りはこの辺にしてそろそろ仕事の話しをしようか。とりあえず由乃は………」

(果たしてその相手は蓉子さま?それとも………)

 そして各々が割り振られた仕事を初めて一時間が経とうとした時だった。

「そういえば入学式で黄薔薇さまや令を同学年と勘違いしたのって祐巳ちゃんのことでしょ?」
「ど、どうしてそれを!?」
「あぁ、やっぱりあれって祐巳ちゃんのことなんだ。黄薔薇さまから話を聞いたときは耳を疑ったけど、こうして祐巳ちゃんを見てるとちょっと納得だね」
「実物を見て納得される自分が情けないです………」

 穴があれば入りたい心境、今の祐巳の心境はまさにそれだった。このことは由乃や志摩子は勿論だが、他の薔薇さまたちにも内緒にしておくはずだったのにこうしてばれてしまったのだ。

「ちょっと白薔薇さま!お喋りはいいですからちゃんと仕事してください」
「ん、仕事はもう終わったよ」
「なっ!?」
「もう終わったんですか!?」

 割り振られた仕事の量は聖が一番量が多く、パートナーである祐巳は仕事が出来る人間には見えない。実際由乃や志摩子に比べ、出来る範囲は少なかったのだ。にも拘らず最初に仕上げたのが聖となれば祥子や令が驚くのも無理もない話しである。

「目の前に祐巳ちゃんという面白い人材がいるのにダラダラと仕事していたら時間の無駄じゃない。だから仕事は速攻で終わらせ、祐巳ちゃんをからかう時間を増やそうとしたって訳♪」
「祐巳ちゃん、本当にもう終わったの?」
「はい、先ほど一通り見直しましたが抜けている箇所はありませんでした」

 いくら動機が不純とは言え、聖のこの行動力には祐巳を始めとする一年トリオは勿論祥子や令も思わず呆れてしまう。

「と、とにかくそちらの仕事が終わったのであれば令たちの仕事を手伝ってください。私たちの方ももう直ぐで終わりますし、その後みんなでお茶にしましょう」
「え〜、せっかく一番乗りだったのにな」
「ロ、白薔薇さま、この際ですし令さまたちを手伝いましょうよ」
「はぁ、祐巳ちゃんがそう言うならもう一頑張りしようか」

 あからさまに不本意といった顔で渋々令たちの仕事を手伝い始める聖の姿を見て、祐巳はひとまず貞操を守れたことに一安心する。祥子にアイコンタクトでお礼を述べ、聖と共に令の仕事を手伝うのだった。







          ◇   ◇   ◇







「三人ともお疲れ様、お陰で予想より早く仕上れたよ」

 あの後全ての仕事を終えた6人は令の淹れてくれた紅茶でティータイムを満喫していた。

「ちゃんと活躍できてたのは志摩子さんだけで、私と祐巳さんは足を引っ張らないようにするので精一杯だったけどね」
「そんな、由乃さんも祐巳さんも頑張っていたじゃないですか」
「謙遜しなくてもいいよ、私も志摩子さんが三人の中で一番活躍していたと思うよ。こっちは白薔薇さま一人が張り切っちゃってロクに仕事できてないんだから」

 祐巳をからかう時間を確保するために早く仕事を終わらせようとした聖は仕事の殆どを自身で行い、祐巳には確認作業しか命じてないのだ。

「白薔薇さま、祐巳ちゃんに仕事を押し付けないのはいいですが、全く頼らないのも問題があるのではないでしょうか?」
「令の言う通りですわ、あれでは彼女が頼りないと言っているようなものじゃないですか」
「じゃあ祥子と令は祐巳ちゃんが頼りがいのある娘に見えるの?」

 今の聖の物言いでは祐巳を無能と言っているようなものである。当然祐巳がその事に気付かない訳が無く、聖にそのように思われてた自分に自己嫌悪したようだ。

「「白薔薇さま!!」
「ちょっと二人とも落ち着きなさいよ。話は最後まで聞きなさい」

 いくら二人が多くの学生に薔薇のつぼみと持て囃されていても相手は白薔薇さま、聖に真顔になられては二の句は続けれない。

「祐巳ちゃんは志摩子と由乃ちゃんとは違うのよ、二人とは違った対応になるのは当然でしょ。ガチガチではないにしろ、初日で緊張の色の隠せない祐巳ちゃんにはまずこの薔薇の館に慣れてもらうのが先決と思った。だから最初は仕事を覚えてもらうより全体の流れを見てもらいたかったのよ」

 今では無く次に期待している、その考えに異論を唱えるものはいなかった。むしろ祥子に至っては自身の考えの甘さを恥じている。

(いくら志摩子が物覚えが良いからって志摩子や去年の私のような活躍を押し付けようとしていたなんて・・・あれほどお姉さまに他の人を私と同じように見ない様に言われていたのに………)

「まぁ面倒な説明とかは後々祥子と令に任せる、って言うのも理由の一つなんだけどね」
「白薔薇さまったら………」

 せっかくシリアスな雰囲気も一瞬でいつもの軽い調子に戻る。そのお陰か場の雰囲気も直ぐに和やかに変わる。

「そう言えば由乃さんと令さまって息ピッタリだったね。従姉妹同士は伊達じゃないと言ったところだね」
「そんなことないよ祐巳さん」
「そうそう、由乃はしっかりしているようでどこか抜けているんだから」
「ちょっと令ちゃん、そんなことまで言わなくてもいいじゃない!………あっ!」

 学校では慣れ慣れしなくしないという考えはどこへ行ったのか、気付いた時にはいつもの調子である。

「えと、見苦しい真似を………」
「由乃ちゃん、別に気にしなくてもいいのよ。貴女が令の従姉妹だと言うことは私たちも知っているし、この中ぐらいはいつも通りで構わないわ」
「そうそう、変に猫被られるよりそっちの方がマシだしね」
「はぁ、そう言って貰えるとこちらとしては気が楽ではあるんですが………」

 当分は猫を被っているつもりが初日で露呈したのだ。当然自然体でいいと言われても素直に喜べるはずがない。

「これで由乃さんも仲間だね♪」
「情けないところを晒した者同士って事で親近感を沸いてもらいたくなかったわ」

 とは言えこれまでこういった会話をすることがないので『これはこれでいいかも………』と思ってはいるがそれはさすがに口にはしない。祐巳との付き合いはちょっと素直じゃないぐらいが居心地がいい気がするのだ。祐巳もそんな由乃の気持ちを察してか、それ以上の追求はしない。

「やっぱり祐巳ちゃんってボケボケなところがあっても勘は悪くないね。この先一体どんな成長を遂げるか楽しみだね」
「白薔薇さまは祐巳ちゃんのことをどういう対象で見ているのですか?」

 誰に言うわけでもなく小声でボソリと言った聖の独り言は令の耳に確かに聞こえていた。それは聖にとっての祐巳がますますどういう存在なのか解らなくなってしまう内容なのだ。

「さて、どうだろう?少なくとも祥子より祐巳ちゃんのことを買ってはいるけどね」
「白薔薇さま、令とコソコソ内緒話してないで会話に参加してあげてはどうですか?」
「はいはい。令、今の話はまた今度ね。お二人さん、私も話しに入れてよ」

 聖が祐巳のことを気に入るのは予想通りだったはず、なのに何故か気になってしまう。

「祐巳さん、志摩子さん、これから三人で山百合会の仕事を手伝うことだし、親睦を深めるためにも三人で遊びに行かない?」
「あ、それいいね。志摩子さんも来るよね?」
「私で良ければ喜んで」

 そして由乃が祐巳とうまく打ち解けている。それは令にとって喜ばしいことのはずなのに何故か素直に喜べないでいる。

「最初に祐巳ちゃんに会ったのは私の方なのに………」

 祐巳と最初に出会ったのは令であり、祐巳との付き合いは江利子より若干長い。にも拘らず今は遠い存在に見えてしまう。

「祐巳ちゃん………」

 結果祐巳に最も近いはずの立場が聖や由乃に取られたように錯覚してしまう。それが堪らなく寂しい、今の令はまだその気持ちに気付けないでいた………


















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